精神保健福祉センターにおける認知行動療法の展開 TAMA center for mental health and welfare Relapse Prevention Program (TAMARPP)

摘要

近年の薬物依存·乱用問題の動向として, 薬物問題の裾野の広がりや, 未成年者·若年者への拡大が大きな問題となっている.昨年度の薬物事犯の初犯者の割合をみると, 大麻事犯の約80%が, MDMA等合成麻薬事犯の約90%が初犯者となっている.また, 昨年度の少年及び20歳代の若年層の検挙人員に占める割合が覚せい剤事犯で約25%, 大麻事犯· MDMA等合成麻薬事犯ではいずれも60%を超えている和田は今日の薬物乱用の特徴として1「ハードドラッグ」から「ソフトドラッグ」へ2「有機溶剤優位」から「大麻優位」へ3「違法」から「脱法」へと3つの変化をあげている.薬物依存·乱用問題の今日的変化や薬物問題の裾野の拡大など, 薬物問題の深刻さの度合いは高まつているか,覚せい剤事犯の再犯率が50%を下らないことを見ると, これまでの司法的対応だけで薬物問題を解決することは困難である.薬物問題からの解決のためには, 司法的対応に加え, 医療や相談など広い意味での治療的対応が求められていると言える.