躍動する記憶の分子·細胞機構（仮題）

摘要

脳の高次機能の解明は，21世紀に残された自然科学の大きなフ□ンティアの1つである．様々な脳の機能の中でも記憶は最も基礎的かつ重要なものの1つである．人間の精神の営みは記憶なしでは成り立たない．ここ20年あまりの研究の進展により，学習?記憶のメカ二ズムを分子や細胞の言葉で理解する’．分子?細胞認知学朗が新しい潮流として巻き起こってきている．そこで明らかにされてきたのは，己憶“は従来考えられていたよりはるかに動的なものであり，いったh脳内に強固に蓄えられた後もダイナミックに変化するということである． “記憶”は。思い出すことに伴い不安定になったり，再び固定化されたり，消去学習により書き換えられたり，蓄えられている脳部位を変えたり．さらには新生二ユー□ンにより制御されたりと． じつにダイナミックな側面を持っている一方で，内には記憶情報を正確に処理し正確に保存する細胞レべルや回路レべルの仕組みがあり，記憶はダイナミックに変化しながらも情報の工ッセンスは失われないようにしてい