天然メタンハイドレート研究開発の進歩と現状

摘要

天然メタンハイドレートが堆積物中で初めて発見されたのは1960年代のソ連邦であった。 それからわずか40年余りの問に，海上地震探査や学術調査ボーリング等を通じて天然メタンハイドレートに関する知識は急速に蓄積され，メタンハイドレートが地球表層付近に膨大な量のメタンを貯留していることが明らかとなってきた。 その量はメタン量換算で2．1×10~(16)m~3程度と推定され，在来型のガス資源に比べて2桁大きく，さらに石油·石炭などの化石燃料として地球上に固定された炭素の約2倍に及ぶ。 このようなメタンハイドレートは，非在来型ガス資源としての価値ばかりでなく，海底地滑りなどの地質災害の要因として，さらには汎世界的気候変動において重要な役割を果たす物質として注目されつつある。 ここでは，これらに関する天然メタンハイドレートの研究開発の進歩と現状について紹介する。