有害有毒赤潮の生物学(36)有害赤潮ラフイド藻ヘテロシグマ-9

摘要

赤潮の発生から消滅の過程ではさまざまな要因が関与し，赤潮生物の増加では増殖と移入，シストの発芽が，減少では死滅と移出，シスト形成などがあげられ，っまるところ赤潮の発生は赤潮生物の増加が減少を上まわった結果と認識できる。これらの要因のなかでも，細胞数の増加，とくに増殖に関わる研究がこれまで精力的になされてきたといえる。一方で赤潮生物の減少にっいての研究は過去にあまり多くなかったことから，その歴史は比較的新しい。赤潮藻の死滅要因としては，二枚貝類(bivalves)や動物プランクトン，繊毛虫(ciliates)や従属栄養性渦鞭毛藻(heterotrophic dinoflagellates)などの原生生物(protists)にょる捕食(grazing),ウイルス感染(viral infection)，細菌にょる殺藻(algicidal activity)などが主たるものとしてあげられる。本稿においては，ヘテロシグマ（Heterosigma akashiwo）赤潮を対象としてその捕食者にっいて整理し，それらの捕食の特徴や捕食の限界などにっいて述ベる。