X線回折装置（XRD）

摘要

X線回折装置（XRD）とは，試料に一定波長のX線を照射した際に生じる，回折X線の回折角及び強度を測定することで，物質の同定や結晶の構造分析（原子間距離や配位数など）が行える装置である。主なものとしては，試料の単結晶を作成し測定する「単結晶X線回折」，粉末のように多数の単結晶の集合となっている試料を測短する「粉末X線回折」などが知られている。分析対象となるのは無機·有機結晶粉末，液体，単結晶物質などで，研究開発での利用が中心。主な利用分野と分野別の分析·測定内容は以下の通り。高分子·触媒·化学·薬品分野：結晶化度及び結晶粒径の測定，分子構造の決定，結晶性や集合組織の解析。金属·半導体分野：酸化物及び窒化物の検出，表面処理状態の結晶学的測定。セメント：クリンカ成分の分析。鉄鋼：スラッグの分析。建築·土木：材料強度の研究。なお国内のXRD市場は，X線分析器メーカーのリガクが7割程度と大きなシェアを占めている。