仮想物体を変形·破壊する力覚表示システムの研究

摘要

一方，器具に注目して，ナイフ，ハサミ，ノコギリという機序の異なる器具のそれぞれについて，切離時に生じる反力によろモーメント，すなわち切離モーメントを解析的に理論化しながら．さらにこれらを統合してその感覚の違いを表現する力覚表示システムを発展させてきた．また，これらのシステムは，医療技術習得のための訓練用シミュレータへの将来的な応用を念頭に置いて開発したので，上述の粘弾塑性を表現する数学モデルにより構築した物体を，その操作対象として取り扱っている．その一環として，従来の切離器具と採血を想定した穿刺器具を新たに構築する手法も試みてきた．この本論文では著者らが従来の研究で行ってきた手法について総合的に論じ，さらにこのモデルで構築した器具と物体の相互作用に基づいて力覚を得る手法を新たに提案しながら，統一された仮想作業環境を準備して，より現実的な模擬体験を提供する技術について新しい知見を交えて展望する．