超小型位置天文観測衛星ナノ·ジャスミンでえがく天の川銀河の地図

摘要

夜，天球上に輝く数々の星座は，“恒星”とよばれる太陽と同様に自ら（星の中心での核融合反応によるエネルギーの放出により）輝いている星で構成されている．恒星は，時間が経過しても天球上での恒星間の相対的位置関係は変わらず，星座の形が保たれていることから，“恒にある星”という意味で恒星と名付けられた．一方，火星や木星などは，天球上での位置を日々変え，天球上での恒星や星座との相対的位置が移動していくことから，“惑う星”という意味で惑星とよばれるようになった．このように，星座の形は変わらず，恒星の天球上での相対的な位置関係は変化しないというのは日常的に感じるものであるが，実際は異なり，厳密には恒星も天球上で時々刻々位置を変えている（星座の形も長い年月を経て変化している）．その変化があまりにも微小であり，通常は関知できないだけである．以上のように，微小ではあるが天球上の恒星の動きには天文学にとって非常に重要な情報が含まれており，その情報を手に入れることが宇宙のさまざまな謎の解明につながるのである．