高效率水処理設備の構築と最適化事例：水処理技術の最新動向と処理手法の最適選択

摘要

水処理と言っても，安全で美味しい水を人々に提供するための浄水処理，家庭から出る生活排水や流入する産業排水を処理する下水処理，工場の排水を処理する産業排水処理があり，処理する対象物質も求められる基準も異なっている。 かつては，浄水処理では濁度と大腸菌群数，下水ではBODとSS，産業排水ではBODとSSに加え重金属が処理対象となる指標や物質であった。 その後，浄水では臭気物質とトリハロメタンが加わり，下水ではCOD，窒素，リンが加わり，産業排水ではCOD，窒素，リンに加え難分解性有機物質や新たに環境基準が導入されたフッ素，ホウ素，セレンが加わった。最近では，内分泌撹乱物質，ダイオキシンやクリプトスポリジウムなどの原虫にまで対象か拡大している。 産業排水では技術の進歩に伴い排水の組成が複雑となり処理がますます困難になってきている。 今後，分析技術の進歩や毒性評価技術の進歩に伴い，水処理における処理対象物質はますます拡大すると予測されるし，技術進歩にともない排水がさらに複雑になることも予想される。 このため，水処理技術も従来法の再評価·改善，新しい技術の導入による高度化がいっそう求められる。ここでは水処理の現状と課題を把握するとともに，高度処理と循環型社会実現を目指した水処理について考えてみる。