水処理技術の最新機能と導入コスト：SAT型嫌気性排水処理装置

摘要

嫌気性排水処理法は，活性汚泥法に代表される好気性処理法と比べて高負荷処理が可能であり，有機物の分解により得られるバイオガスから熱や電気エネルギーが回収できること，余剰汚泥の発生量が少ないこと，負荷変動に強いことなどの特徴を有した処理方法である。 地球環境にやさしく，省スペース·省コスト型であり，運転管理の容易な排水処理法として，産業排水処理分野で適用範囲が拡大している。 しかし従来，嫌気性処理の特徴が十分発揮できるのは，高濃度排水，少なくともBOD500mg/l以上の排水であった。 また，UASB法が開発された後にも，硫化水素による臭気や腐食性の問題，爆発性ガスを取り扱う危険性など，マイナスのイメージがあり，導入効果が非常に大きい場合のみ適用され，まだ一般的に適用されてこなかった。 そこで当社は，アサヒビール（株），（株）アサヒビールエンジニアリングと共同で，BOD500mg/l以下の低濃度排水に対しても嫌気性処理を適用可能とすることを目的として「SAT型嫌気性排水処理システム」（以下，SAT型システム）を開発した。 さらに，当社が培ってきた臭気や腐食対策，および安全性に対する配慮などを反映し，安心して運転できるシステムとした。