高温水蒸気ガス化によるバイオマス及び石炭からの清浄な合成ガスの生成

摘要

紙，松のチップ及びピッツバーグ瀝青炭を純水素と純酸素を燃焼させて発生させた水蒸気をモル比の異なる原料に700～1,200°Cの温度範囲にてバッチ式反応炉で高温水蒸気によるガス化を調査した。紙に対する水素の収率はドライベースで54.7％，ウッドチップに対しては60.2％，石炭に対しては57.8％であった。 このときの，水蒸気供給量は6.3g／分，温度は1,200°Cであった。 ガス化温度を上げると水素と一酸化炭素の収率は両方とも増加し，二酸化炭素とメタンは減少した。 低温水蒸気に比較して高温水蒸気ガス化ではタール残渣は1/10であった。 ガス化原料に対してより多い水蒸気モル比では合成ガス中の水素量が増えた。 しかし，水蒸気量が増えると合成ガス中の水素量が減り，二酸化炭素量は増えた。 ガス化温度の選択は，ガス化プロセスで製造される合成ガス中のメタンあるいは水素生成量を調整することができる。 ここで，製造された合成ガスは更に精製することで純水素の製造が可能である。 このことは，炭化水素が多い合成ガスを製造する手段となり，液体の炭化水素燃料を製造することも可能である。 発生ガス成分が調整できる水蒸気ガス化プロセスを用いることにより，バイオマス燃料は水素あるいは液体燃料を製造するための有効な再生可能燃料の供給源となる。