床の間空調にヒントを得た工場空調の改善

摘要

小山工場ができた約50年前の機械工場というのは，多くの塾錬作業者の手で旋盤·フライス盤·ボール盤などのマシンを駆使して物づくりをしていたので，建屋内の“人口密度”はかなり高かった。そのような工場の空調設備は，一般に天井から冷風や温風を吹き出して建屋内全部を空調対象とした「エアハンドリングユニット」（AHU）と称されるものが多い。当工場では天井高さが7メートルあり，そこにクレーンが走るために，24メートル四方を1つのエリアとして1基ずつこのAHUが設けられていた。その送風機の消費電力は11kWであった。しかし，設備の自動化などで，発熱体としての設備密度が高くなり，夏場はたとえ冷房していても，作業者に届く冷風は30°C以上だった。しかも，冬場はせっかくの温かい風も人のいない頭上空間ばかりを暖め，作業者には少しの温風しか届かない。