九州地方のカンキツにおけるカブリダニ頬の発生状況

摘要

近年、ざまざまな作物で総合的害虫管理技術（IPM）の確立に関する研究が精力的に進められている。 IPMにおいては、天敵類を用いた生物的防除が最も重要な防除手段とされている。 日本国内での果樹の害虫防除体系においては、1990年代以降、天敵類に悪影響の少ない防除手段や選択性殺虫剤の使用が徐々に増加しており、それに伴い、土着天敵を利用した生物的防除を実用化する下地が整いつつある。 カプリダニ類は捕食性を示す種が多く、ハダニなどの微小害虫類に対する有望な土着天敵素材として期待されている。果樹のような永年作物類で土着天敵類を有効利用するには、まず、園に発生する土着天敵類の種構成を把握することが必要である。 現在、日本各地のさまざまな樹種の果樹園でカプリダニ類の発生状況のデータが蓄積されつつある。