医用診断技術の動向 その2：乳ガン早期診断を目指す新エックス線画像開発

摘要

欧米では吸収コントラストによる3次元情報を得るためにtomosynthesisが積極的に開発されている。 私たちもいずれ臨床応用の局面になれば被曝皮膚線量を抑えることが求められる。 屈折コントラストの方が高いエックス線エネルギーを用いることができるので被曝皮膚線量を低くできる見込みがある。 そこでtomosynthesisを屈折コントラストに適応することを試みている。 かなり成果が期待できそうである。 エックス線暗視野法の応用の第一として整形外科分野での臨床応用を目指した。大きいビームが得られるSPring-8に近い研究機関の中から宇山親雄教授のご尽力で共同研究の相手方岡山大学を探すことができた。岡山大の賛同を得て臨床に近い条件で各種関節軟骨の描画に成功した。 2004年のことである。 乳ガンに関してはKEK放射光施設で開発を進め，今般，乳管，乳ガン巣，個々の乳ガン細胞，壊死乳ガン細胞群，線質などが明瞭に見えることが分かった。 臨床診断にせよ，病理診断にせよ乳ガンとリウマチの早期診断を目指した開発途中の技術ではあるが，挑戦の一端を紹介させて頂き，広く読者に開発の現状を理解して頂きたいと考える。 助言などを頂戴できれば幸いである。