産業プラントと社会インフラにおける高経年化マネジメント：インフラ大修繕時代の橋梁若返りマネジメント

摘要

衝撃的なアメリカの事故を受けて国は「道路橋の予防保全に向けた有識者会議」を設置し，今後いかにすべきかの議論が始まった。当有識者会議の最終提案は，1．点検の制度化，2．点検及び診断の信頼性確保，3．技術開発の推進，4．技術拠点の整備，5．データベースの構築と活用であった。これら提案がしっかり根付けば日本は変わると実感した提言であったが，それから5年経過した国内の状況はどのように変わったのであろうか？笹子トンネルの大事故は，遅々として進まない国内のインフラ管理への大きな警鐘ではないのか？しかし橋梁管理の実態は，未だ維持管理，特に点検·健全度診断の不備による道路橋の事故は減るどころか増加する一方である。急速に高齢化の進む橋梁などの社会基盤施設に必要なのは適切な点検，正しい健全度診断，将来予測と事故リスクを最小限にくい止めるマネジメントであると確信している。ここで，私が東京都で進めてきた供用中の橋梁を対象とした予防保全型管理に向けた考え方と今後の何が必要でどうすれば艮いかについて紹介することとする。