超臨界流体の分光·回折測定：ナノ空間内における超臨界流体の高圧NMR分光法による直接観察

摘要

NMR分光法は，シリカ材料などの様々なマトリックスに対して透過性の高いラジオ波を使用し，特定の核種の微視的環境を識別して観測できる特長を持つことから，マトリックス内部のナノ空間に存在する流体の物性を直接的に調べる強力なツールである。 実際，これまでに希薄キセノン気体をプローブ分子として利用して，その化学シフトからゼオライト等の多孔体における細孔構造などを調べる手法が報告されている。我々は高圧NMR分光法を用いて，気相から液相まで超臨界状態を含む広い密度領域において，ナノ多孔質材料の内部空間における流体を直接的に観察している。 本論文では我々の測定手法を解説するとともに，最近の実験結果を報告する。