Footshockにより誘発される覚せい剤メタンフこタミン探索行動における副腎皮質刺激ホルモン放出因子(CRF)の促進的関与

摘要

薬物への"渴望"の再燃は，薬物依存症の最大の問題点である.この渴望を誘発する因子としては，類似薬物の少量投与，薬物摂取時の環境刺激ならびにストレスの3種類が挙げられる.一方，副腎皮質刺激ホルモン放出因子(CRF)は，ストレス反応を担う視床下部-下垂体-副腎系の構成分子として知られている.CRFは,このホルモンとしての役割のみならず，腹側被蓋野では，AMPAならびにNMDA受容体を介するグルタミン酸(Glu)神経伝達を増強する(Hahn et al,2009).またCRFが豊富に発現する分界上床核では，ドパミン(DA)神経の活性化によりCRFが遊離され，CRF,受容体を介してGlu神経伝達が促進されることも明らかにされている(Liu et al, 2004; Kash et al, 2008).このように，CRFは，渴望再燃に関わるGlu神経や，DA神経のニューロモデュレーターとして機能する可能性が示唆されている.本研究では，覚せい剤methamphetaine (MAP)を用い,MAPへの渴望再燃(MAP探索行動の発現)におけるCRFの関与を追究した.