臓器移植における核医学の役割

摘要

臓器移植は回復の期待できない重篤な臓器不全に対する治療の-選択肢としての地位を築いたといえる.しかしながら,その実施に当たっては患者および家族には多大な出費と精神的,肉体的負担を必要とされるものであり,また,ドナーの意志に答えるためにも少しでも高い成功率が要求される治療法でもある.核医学検査の特徴は再現性の優れた機能画像および定量評価であり,術前のドナーおよびレシピエントの機能診断に,また繰り返し検査が容易にできる点からも,移植された臓器の合併症·機能のモニターに適しており,合併症の早期診断という面からも臓器移植医療に貢献しうる.他の画像診断のモダリティも進歩している中で核医学の特徴を生かした"臓器移植における核医学の果たすべき役割"を代表的な症例を呈示しながらレビューする.