心不全に伴う心房細動薬物治療一心不全医の立場から-

摘要

心房細動は，心不全に合併しやすい不整脈の1つである。Framingham研究では，心不全における心房細動合併率は13-27°%で，一般人口と比較して男性は4.5倍，女性は5.9倍'と報告されている。心房細動の側からみても同様に心不全を合併しやすく， Fukudaらによると心房細動患者で入院を要する心不全の発生率は年間2 %であるという。心不全の予後と心房細動の関係については， 現在は/?遮断薬やRAS抑制薬等の導入によって心房細動の影響が小さくなつてきた。しかし， 最近行われたCHARM試験のサブ解析"）では， 左室機能が保持された症倒でも低下した症例でもベースライン時に心房細動を合併していると心血管死，心不全の悪化による入院およぴ総死亡のリスクが上昇することが示されている。心房細動は心不全にさまざまな影響を与え，心不全の増悪および予後の悪化につながる可能性があることから（図5),心不全患者では心房細動治療が必要である。