焦燥感，不眠，持ち越し効果にクアゼパムが奏功した大うつ病の中高年男性症例

摘要

症例は大うつ病の60歳男性。 バロキセテン10mg，エチゾラム0．5mg，フルニトラゼパム1mgで治療していたが，眠気，ふらつきなど持ち越し感があった。ライフイベントにより焦燥感，熟眠障害，早朝覚醒の悪化を認め，フルニトラゼパム1mgをクアゼパム15mgへ置換したところ症状は改善した。 本症例におけるクアゼパムの効果は，1）長時間作用型というプロフィールによる中途覚醒·早朝覚醒の改善，2）BZ_1受容体選択的作用による持ち越し効果，筋弛緩作用の軽減，3）クアゼパム自体と活性代謝産物双方の血中濃度半減期が長いため，日中の不安に効果がある，4）クアゼパム自体と活性代謝産物双方の血中濃度半減期が長いため，依存性，反跳性不眠，退薬現象が起こりにくい，5）不眠，焦燥感を伴った大うつ病において，症状の早期改善に効果がある，と考えられた。