術後QOLの観点よリ評価した開腹幽門側胃切除術と腹腔鏡補助下幽門側胃切除術の比較

摘要

胃癌に対する腹腔鏡補助下幽門側胃切除術(Laparoscopy-assisted distal gastrectomy; LADG)は従来の開腹幽門側胃切除術(Open distal gastrectomy; ODG)に比べ，低侵襲であり，治療成績も遜色がないという報告が散見され，わが国における鏡視下胃切除術普及のrationaleとなっている.しかしながら，その術式を比較評価するにあたり，患者立脚型ァゥトカムとしてのQuality of life (QOL)について，計量心理学として科学的に研究したものは少ない.近年，癌治療を評価する際に，治療成績や安全性のみならず健康関連のQOL ( HRQOL; Health-related QOL)が重要なェンドポイントとして認識されるようになってきている.その中で，European Organization for Research and Treatment of Cancer (EORTC)で開宪された癌患者共通のQOL質問票であるcore questionnaire (QLQ-C30)と，これを補助するために臟器別に作成されたQOL質問票のうち胃癌患者を対象にしたST022があり，近年，わが国における日本語版のvalidation studyがなされ，その信頼性と妥当性が報告された5'6).今回，これらの質問票を用いて，胃癌手術後のHRQOLを測定し，それぞれの術式について比較，検討を行つた.