再生不良性貧血治療の問題点と今後の展望

摘要

再生不良性貧血は汎血球減少と骨髄低形成という検査 所見によって定義される漠然とした症候群である。本来 は「造血幹細胞に対する免疫学的な攻撃が原因で発症す る良性の骨髄不全」のように病態によって定義されるべ きであるが，診断名として長い歴史を持っているため定 義を変えることは容易ではなく，また免疫病態を診断す るための良い方法が確立されていなかったため，治療方 針は現在でも病態ではなく重症度によって決められてい る。しかし最近では特定のマーカーを調べることによつ て，ある骨髄不全が免疫病態によつて起こったものであ るかどうかをおおよそ判断できるようになつている。こ のため，マーカーが陽性であった場合には，従来重症例 にのみ適用されてきた免疫抑制療法を軽症?中等症の再 生不良性貧血に対しても積極的に用いることが推奨され るようになっている。