心房細動の薬物·非薬物療法の現状と将来展望：Overview

摘要

心房細動（AF)は，治療対象となる頻脈性不整脈の中でもっとも遭遇しやすい不整脈である.AFは直接致死的となることはないが，動悸，めまい，運動耐容能低下などによりQOLを障害する.AFはしばしば100柏/分以上の頻脈となり，これが持続すると心機能は低下する（頻脈誘癸性心筋症).AFは心不全に合併しやすいが，心不全を増悪させるとともに生命予後を悪化させる.AFのもっとも大きな問題は心原性脳梗塞の原因となることであり，一旦脳梗塞を発症すると致死的となるか重度の機能障害を残すリスクが高い. すなわちAFは良性の不整脈ではなく，決して放置してはならない不整脈である（1).AFは高齢者に多いことが知られているがわが国の疫学研究でも60歳を過ぎると罹患率は指数関数的に増加し，80歳以上の男性のAF罹患率は4?5%以上に達する（2).わが国の人口の高齢化は今後進行すると考えられ，従ってAF 患者数はさらに増加し，その管理·治療はますます重要となる.