ワークショップ1「EBMからみた不妊治療」3）EBMからみた排卵誘発法の評価

摘要

現在，汎用されている代表的な排卵誘発法は，クロミフェン療法，ゴナドトロピン療法，ドパミン作動薬療法であり，いずれも適応疾患に対して高い有効性が報告されてきた．しかしながら，以下に挙げる課題も指摘されている．クロミフェン療法は，内因性エストロゲン分泌の保たれている第1度無月経などの軽度の排卵障害患者を適応としている．第1皮無月経に対し，排卵率は60～70％，妊娠率は25～30％と右効性は高い．投与の簡便性から，適応患者に対する第1選択薬であるが，排卵の回復は内因性のGnRHのパルス状分泌の正常化に依存するので，効果は決して確実とは言えず，排卵の起きない症例も多い．クロミフェンで排卵しない症例に対し，副作用が強いゴナドトロピン療法を回避するために，クロミフェンに何らかの薬剤を併用投与することによって排卵を誘発する試みがなされてきた．これまでにプロモクリブテン，漢方薬，副腎皮質ホルモン,メトホルミン．アロマダーゼ附害妾などの有用性が報告されている.