原子力平和利用における核セキュリティ対策

摘要

二〇〇一年九月一一日の米国同時多発テロを受け、核物質その他の放射性物質を使用した核テロを防止するため、核セキュリティ強化は国際社会の共通課題であるとの認識が高まった。二〇〇九年四月、米国オバマ大統領は、プラハ演説で国際社会が直面する核テロ脅威について「世界の安全保障に対する最も差し迫った、かつ最大の脅威だ」と、こう力を込め、そして「核兵器のない世界」を目指すために、核セキュリティをテーマとしたサミットの開催を提唱した。オバマ大統領は、プラハ演説での公約通り二〇一〇年四月に首都ワシントンで第一回核セキュリティ·サミットを開催した。その後同サミットは、韓国、オランダ、二〇一六年春に再び米国で開催され、オバマ大統領の任期が終了することもあり、一定の成果が得られたとして終了した。核テロの脅威に対し、各国においてもまた国際的にもその対策の強化が図られており、核セキュリティ対策はかなり前進したと言える。