周波数領域チャネル推定(FDCE)及び周波数領域等化(FDE)を用いた：Direct Sequence - Ultra Wideband (DS-UWB)方式の特性評価

摘要

近年，室内の近距離高速無線通信方式としてDirect Sequence-UltraWideband (DS-UWB)方式が注目されている．DS-UWB方式は，超広帯域を利用するため，パス分解能が極めて高い．これまでに，RAKE受信機を用いることで遅延時間の異なるパスを分離合成し，パスダイバーシチ利得により伝送特性を改善できることが報告されている．しかしながら，UWB伝送路では，数百Mbpsのような超高速伝送時にはマルチパスが数十シンボルにも広がる．そのため，RAKE受信機は多くのフィンガーを必要とし，複雑度が増してしまう．また受信機において多くのチャネルインパルス応答(CIRs)を推定しなければならず，チャネル推定における複雑度も増してしまう．一方最近，シングルキャリア伝送の周波数領域等化(Frequency Domain Equalization: FDE)技術が注目されている．FDEを用いたシングルキャリア伝送は，マルチパスが数十シンボルにも広がるような周波数選択性が強い環境においても優れた特性を達成することが報告されている．また，FDEを用いたシングルキャリア伝送では，簡易な周波数領域チャネル推定を用いることができることが報告されている．本稿では，周波数領域チャネル推定(FDCE)及び周波数領域等化(FDE)を用いたDS-UWB方式と，時間領域チャネル推定(TDCE)及びRAKE受信機を用いたDS-UWB方式を比較検討する．