電力品質と電気設備：高圧受電設備における力率の実態と進相コンデンサ容量

摘要

電力品質の一つに電圧がある。 電圧は，負荷の変動や力率によって，日々刻々変化する。配電系統では，これらに合わせて，電圧を適正に維持するため，発変電所の運転目標電圧の整定，柱上変圧器のタップ設定，線路用電圧調整器の取付位置選定，運転，管理など総合的に検討し，実施している。 一方，高圧受電設備では，力率を改善させる目的で進相コンデンサ（以下，SCという）が設置されている。 SCの投入容量としては，遅相分相当容量を投入すれば当該高圧需要家の受電端力率は1となり，送電ロスの低減や受電端電圧の適正維持など系統運用上好ましい条件となる。 したがって，負荷条件に伴って適正容量のSCを選択投入する自動力率調整装置は極めて有効であるが，まだ広く普及されるには至っていない。大部分の高圧需要家ではSCが昼夜にかかわらず配電系統に接続したままとなっているケースが多い。 そのため，夜間の軽負荷時には進相状態となるため，フェランチ効果による電圧上昇など，高圧受電設備を含めた配電系統全体で様々な問題が顕在化している。 そこで，本稿では，6業種12高圧需要家に対し測定を行った結果から，力率の実態並びに最適なSC容量について述べる。 さらに，SCの運用条件が配電系統電圧並びに送電損失などへ与える影響を評価したので，その結果についても述べる。