有限要素法を用いた海洋構造物における犠牲陽極消耗に対する防食限界の推定

摘要

数値計算を用いた，大型海洋構造物の電気防食限界の推定方法を開発した．カソード分極曲線や電気伝導度などの入力パラメーターに代表的なデータを入力した上で，複数の犠牲陽極の消耗を仮定した有限要素法計算を行った．複数の犠牲陽極消耗全ての組み合わせについて検討を行い，構造物表面の電位が防食管理電位よりも貴化する際の犠牲陽極の消耗個数とパターンを推定した．羽田空港D滑走路桟橋部ジャケットを例に解析を行ったところ，通電初期状態においては，犠牲陽極が2個消耗した時点で防食状態が維持されなくなる結果となり，防食設計の数値的裏付けを行うことができた．この手法は今後，大型海洋構造物の犠牲陽極のサイズや配置といった防食設計を効率的に行うための支援技術になり得ることを示した．