オーステナイト系ステンレスボイラー用鋼の長期信頼性に与えるLaves相ぜい性の影響評価

摘要

オーステナイト系ステンレスボイラー用鋼のSUS347を700～900°Cの範囲で時効し，Fe_2Nbの組成を持つLaves相の析出様相を観察した。また，未時効材と時効材を用いて大気中および塩水中で回転曲げ試験を行い，長期信頼性に及ぼすLaves相の影響について検討した。その結果，いずれの温度域でもLaves相の析出が認められ，時効温度が高いほどLaves相が粗大化することを示した。大気中では，Laves相析出により，700°C時効材の疲労強度は未時効材よりも向上した。しかし，900°Cで時効した場合，Laves相の粗大化によって強度は低下した。塩水中では，鋭敏化によっていずれの時効材も未時効材より疲労強度が低下し，この温度域での加熱がSUS347の長期的信頼性に悪影響を及ぼすことを明らかにした。