無線センサを用いた大規模電力可視化ネットワーク実証実験

摘要

持続可能な省エネルギー社会の実現は現代社会の重要課題であり，省エネルギー政策として我慢の省エネからスマートな省エネへの移行が目指されている．とりわけ，業務·家庭部門においては近年エネルギー消費量が増加しており，さらなるエネルギー使用の合理化推進が求められている．業務部門では平成20年度の省土ネ法改正により，これまでの事業所単位から事業者単位（企業単位，フランチャイズ加盟店全体単位）でのエネルギー使用量の把握，エネルギー管理の実施による消費エネルギー低減を行なう必要が生じた．さらに，省エネを着実に実行するため，産業部門に導入されて消費エネルギー低減に貢献しているベンチマーク制度（エネルギー消費状況を比較できる指標を設定し，他事業者などと比べた省エネの進捗状況を明確化する）の業務部門への導入が検討されている．このような背景のもと，スマートな省エネを事業者単位で実現していくためには詳細なエネルギー消費実態の調査·分析が必要であり，事業者全体をカバーする大規模な電力センサネットワークの実現による情報収集と得られたビッグデータを活用した統一的な省エネPDCA（Plan，Do，Check，Action）サイクル推進が成功の鍵となる．