微小粒子間付着力測定装置を用いた付着力測定と帯電性の影響

摘要

粉体の付着力に関する評価は，従来から数多く研究者により様々な方法によって行われてきた。 粉体物性の中でもとりわけ重要な位置を占めると思われる付着力だが，付着力に影響を及ぼす外的，内的要因があまりにも多い為に生産現場などでは「時と場合により変化するよく分からないもの」として認識される事が多く，粉体製品の正式な規格値として「付着性」が指定された事例は殆ど見当たらない。 しかし，医薬品製造工程などにおいては，たとえば粉体輸送，混合，充塡，製錠などで特に付着凝集性の強い有機粉体では製造機や測定機の各部分に付着して，種々な問題を惹き起こしスムーズな自動化を妨げる事は少なくない。最近ではトナーの更なる微細化研究や次世代電子表示媒体「電子ペーパー」などの最先端の研究分野でも，非常に精密でしかも手軽な付着力測定のニーズは確実に高まっている。 医薬の分野でも粉末吸入製剤に関する研究として薬物のディバイスやカプセルからの排出，体内でのキャリヤー粒子からの分離，分散の評価として付着力測定が重要視されている。