茶研究の先駆者、諸岡存5 --諸岡存の箸作(下)

摘要

昭和十二年、諸岡は「禅と茶道」を、雑誌『理想』（第七十五号）に寄せた。 栄西以前にも、日本に喫茶や茶樹の栽培法、樽茶は輸入されたと思われる。 しかし日本に新たな喫茶方法を輸入、伝播し、禅宗を確立したのは栄西である。そこで日本では茶と禅が近く、「茶禅一味」とよく言うのも、栄西の功績と評価する。一方、中国では仏教以前から茶があり、むしろ道教のほうが茶を発達させたと考えられる。 しかし飲茶が非常に盛hになったのは、やはり仏教の戒律が盛hになり、中国化してからである。 茶には、強心、覚醒作用があるから、座禅には必要であり、また五戒の戒律（不飲酒戒）を守るために飲酒を飲茶に代えたのだという。