工場トータルエネルギー管理システム

摘要

製造業では，省エネルギーとCO{sub}2排出量の削減は経営上不可欠の課題となっており，多くの取り組みが実施されている。 特に生産ラインで大量のエネルギーを消費する工場では，コジェネレーション設備の導入によるエネルギー効率の向上と生産設備の省エネルギー化によるエネルギー使用量の削減が実施されている。 三菱電機では，生産ラインへのエネルギー供給システムを最適管理する用役系FEMS (Factory Energy Management System)と，生産ラインの運用を工夫することによって生産ラインで使用するエネルギー（電力，熱）を削減·平準化する生産系FEMSの2つのシステムの連携によって，工場全体のエネルギー削減を実現する工場トータルエネルギー管理システムの研究開発を行っている。 生産系FEMSは，生産目標を達成した上でエネルギー使用量の少ない省エネルギー生産スケジュールを作成する。 用役系FEMSは，その生産スケジュールでの生産に必要なエネルギー需要を満たした上でエネルギーコスト最小，一次エネルギー使用量削減，二酸化炭素排出量の削減等の目的を達成する最適なエネルギー供給計画を立案し，生産ラインへエネルギーを供給する。 本稿では，生産系FEMSの構成とそのコア技術となる省エネルギー生産スケジューリング技術について述べる。 また，テスト工程のスケジューリングを例題としてその効果について述べる。今後，これらの開発成果の工場への適用を進め，工場全体の更なるエコファクトリー化を目指していく。