瀬戸内海中央部における小型底びき網で漁獲されるジンドゥイカ類の種組成と漁獲量

摘要

ジンドゥイカ（ヤリイカ）科イカ類（以下，ジンドゥイカ類と称する）は北海道南部から東南アジアの沿岸域に分布し，最大外套長は10cm程度である（奥谷，2000）．ジンドゥイカ類はジンドゥイカNipponololigo（Loliolus）japonica，ヒメジンドゥイカN. sumatrensis，ウイジンドゥイカN. uyii，ベイカN. bekaの4種から構成され，すべての種が内湾性である（夏苅，1994；1997）．しかしながら，種によって生息域が若干異なり，ウイジンドゥイカが最も内湾性が弱く外洋寄りに生息する一方，ベイカは最も内湾性が強く，日本では有明海，八代海，瀬戸内海の各奥部にのみに生息し，ジンドゥイカとヒメジンドゥイカは前者2種の中間的なところに生息している（夏苅，1994；1997）．瀬戸内海にはこれら4種のジンドゥイカ類が生息し（池原、小川，1996），底びき網，小型定置網，パッチ網（船びき網）で漁獲されている（農林省岡山統計調査事務所，1969；木村ら．1994；橋本ら，1989）．