褐毛和種における直接検定牛選抜時の期待評価値と評価値との相関関係の検証

摘要

家畜の改良を効率的におこなうには，いかに産肉能力の高い種雄牛を選抜するかが非常に重要である。 現在，種雄牛の選抜には遺伝的評価値（以下，評価値とする）が有効に活用されている。熊本県では，褐毛和種肉用牛において個体選抜の指標となる遺伝的能力評価を行うことを目的として，1988年に「肉用牛改良情報システム」を構築した。 このシステムは，血縁データ，子牛の市場データ，枝肉データを収集し，種雄牛および繁殖雌牛の遺伝的能力の評価をおこなうもので，直接検定牛を選抜する際に，このシステムにより算出された両親の評価値から，期待される遺伝的評価値（以下，期待評価値とする）を算出し選抜の指標としてきた。今回，褐毛和種において，直接検定牛を選抜する際の期待評価値と，その年が，種雄牛として供用されてから得られた評価値がどの程度相関関係があるか，また，直接検定牛を選抜する際に，どの程度有効に利用されてきたかを検証した。