家畜ふh堆肥の窒素無機化予測および被覆肥料の利用による水稲施肥量の削減と環境負荷低減

摘要

筆者らは1992～1996年の5年間，低投入、高品質農業生産実験実証事業に取り組み，農業生産における環境負荷の低減方策について検討した．実証試験を実施した福岡県高田町昭和閑地区ほ，水稲，麦の大規模栽培と畜産の複合経営に取り組hでいる生産者が多く，地域の環境保全のためには，年ふh堆肥や乾燥鶏ふhといった家畜ふh堆肥の有効利用を進め，循環型農業の構築を図る必要があった．そのため，1992～1994年にほ，これらの家畜ふh堆肥を施用し，被覆肥料を側条施肥機で施用することで，化学肥料投入量の削減を図った．しかし，作物の生育収量をさらに安定させるためにほ，家畜ふh堆肥から無機化する窒素の量を正確に推定する必要があった．水田土壌の窒素無機化については，杉原らの速度論的解析法により推定が試みられているが，土壌に施用した有機質資材の窒素無機化についての報告は少なく，畑条件では大豆粕や牛ふh堆肥，湛水条件では麦わらや豚ぶh堆肥の無機化特性僧が求められている．しかし，湛水条件下における牛ふh堆肥および乾燥鶏ふhの無機化について検討されたものほ見あたらない．そこで，1995～1996年は，年ふh堆肥および乾燥鶏ふhの無機化試験を基に稲作期間中に有効化する窒素量を推定し，また，連年施用による地力窒素の増加分を考慮して施肥量の設計を行い，化学肥料投入量の大幅な削減を実証することができたので報告する．