サブサハラ、ァフリ力における土壌肥料学研究の最前線 3.半乾燥熱帯ァフリ力の畑作地において土壌微生物 バイオマスが土壌一作物間の窒素動態に果たす役割

摘要

講座「サブサハラ、ァフリカにおける土壌肥料学研究の最前線」第3回目となる本稿では，サバンナや半乾燥疎開 林が主な自然植生となる地域における土壌肥料学研究の最 前線について紹介する（図1，写真1,2).本地域は，第 2回（伊ケ崎，2011)で報告されたサヘル地域に比べれば 比較的湿潤であり，農業生産性はサブサハラ'アフリカの 中では比較的高い.とはいえ，水分ストレスは依然存在し， 穀物の平均収量もlMgha~(-1)前後と低く，同じ熱帯地域で あるアジアや南米とは比べるべくもない（FAO，2011). 当地域の収量が低い原因には，降7JC量の低さや化学肥料の 使用量が少ないことに加え，当地域の気候特性（偏った降 雨分布や強い降雨強度）に起因した生育初期に起こる溶脱 が挙げられる（Chikowo et al" 2004， 2006 ； Sugihara et al" 2010b). 土壌の養分よりもまず水が作物生育を規定 する当地域では，水資源（降雨イベント）の確保が最優先 となるが，同時に各降雨ィベントにおける雨量が多いこと がままあり，溶脱による養分損失が避けて通れない課題と なっている.