緊急磯焼け対策モデル事業（藻場干潟生産力改善モデル事業）について

摘要

藻場は，沿岸漁業の場となるとともに生物生産を支える重要な場所であるが，広大な海洋に広く分布している植物プランクトンとは異なり，藻場が成立する場所はごく沿岸域に限定されている。これは藻場を構成する海藻類が体を安定させるために岩盤や石など安定した着生基質か必要なことや，光の届かない場所では生育できないからである。沿岸域でも遠浅の砂浜では安定した基質がないため海藻藻場は成立しないし，急深の海岸では光の届く範囲が限られてしまう。また，藻場が成立できる要因は単に着生基質や光だけではなく，海洋の環境そのものにも大きく影響されている。 さらに，藻場が成立する沿岸域ほ人間活動が最も活発な場所であり，海岸の埋め立てや汚濁物質の流入など，沿岸の藻場は陸域からの直接的かつ複合的な影響を常に受けている。 そのような視点で我が国の沿岸域を見つめなおすと，藻場が存在できる範囲は極めて限定されていることが容易に理解できよう。 そして，藻場の存在は不安定であり何らかの要因で消失してしまうことが知られ　この藻場が消失してしまう現象を，多くの場合「磯焼け」と呼hでいる。