日本海能登半島近海産ホッコクアカエビの群構造と性転換－日本海能登半島近海産ホッコクアカニビの資源管理技術に関する研究－Ⅳ－

摘要

日本海能登半島近海産ホッコクアカエビPandaluseousの生活史のうち，前報で成長，繁殖生態，および分布と移動を明らかにした。このうち本種の特徴である性転換現象については，性転換年齢が4歳から6歳まで幅のあることを示した。 本種と近縁でアラスカからカリフォルニア沖にかけて分布ずるP．如戒融に関して，Charnov et al.ほ性転換年齢が群構造に対応して変化することを示した。また，北大西洋産のP. borealisの性転換サイズの変化を検討したCharnovは，漁業の影響を受けて死亡率が高いと性転換年齢が早まると推論した。 更に，Hannah，JonesはP．jordaniで観察された性転換年齢の若齢化が漁獲量の減少と対応ずることを示した。本種に関しても，Charnov，Andersonはアラスカ半島南のパブロフ湾で漁獲された個体の平均頭胸甲長と50％が雌となる頭胸甲長の関係を1972年から1987年までの16年間にわたって調べた結果，平均頭胸甲長の小さい年ほど性転換サイズが小さいことを見いだした。 そこで本報では，日本海能登半島近海産の本種について，新たに解明された生活史に基づき，生残率の変化に対応する最適性転換年齢を理論的に求めるとともに，実際の性転換個体の年齢とサイズの変化を具体的に検討する。更に，これらの結果に基づき，本種の性転換サイズが漁獲量変化と関係することを検証する。