シンポジウム記録水産技術者の業務と技術者倫理: 7.水産部門技術士の現状と課題

摘要

2009年3月末現在の技術±数は延べ78,439名である。 60年の歴史を持つ技術士制度のこの人数は，米国PE の40万人，英国CEの19万人に比べて著しく少なく， 2005年国勢調査の技術者数214万人の3%にすぎない。 JABEE修了者は10万人近くとなつたが，2009年度第 二次試験受験者は160名にとどまつている。水産部門技術士数は，2010年3月に念願の500名を 突破できたが，全技術士の0.6%である。1994年，水 産庁長官が都道府県等に対して(1)水産部門技術士の活用， ②水産部門技術士の養成を通達した。これが奏功しつつ あり，近年は漁港漁場整備事業を中心に技術士の公的活 用が着実に進hでいる。公的活用は，そのプロジXクト リ一ダーに技術士を配置しなければ応募できないという 形で行われる。ただし現状では，水産部門の技術士のう ち，第二次試験受験時の選択科目が「水産土木」であつ た者に限定される傾向があり，「漁業及び増養殖」，「水 産加工」,「水産水域環境」を選択した者の公的活用は一 部の自治体を除きほとhどない。一方では技術士資格を 必須要件とすることが自由な競争を阻害するかのような 意見もある。今後，専門的応用能力と技術者倫理を兼備 していると認定された技術士の活用が拡大することは間 違いないが，そのためには水産界における技術士の育成 が急務となっている。