面白い寄生虫の臨床（X) —寄生虫の小径:最近経験した爬虫類における寄生虫病事例

摘要

酪農学園大学野生動物医学センター（以下，WAMC)が,日本 野生動物医学会蠕虫症センターに 指定されたことから，動物園、水 族館（以下，園館）ほか飼育施設 からの寄生虫症診断の依頼が多いことを，前々回の本シリーズの拙稿で述べた[1].し；; し，そこでは鳥獣類を中心に扱ったが，爬虫類は末尾i. ごく僅かに触れたのみであった[1].しカゝし，今日，爪 虫類は動物愛護法の対象になり（ご存じのように，同I 脊椎動物であつても魚類と両生類は動物愛護法の対囊 外），大学での獣医学教育においても獣医師の卒後研 にも，家畜、家禽動物の教育と同程度には力を入れる'ぶ要が求められる[2-4].大学は研究を基盤にして教育L て行くことが求められる.そのようなことから，家畜' 家禽動物とは生物科学的にも生態学的にも異なる爬虫类 について，最初から必要十分な教育を望めなくとも，孝 育の充実のための基盤となるデータを不断の研究によ（ 蓄積して行くことは大学の義務である.また，卒業後 獣医師として，また動物看護師として働く上での実利B としても，爬虫類はいわゆるエキゾチック、ペットの<1 核をなすものであり[5-7]，知識を修得しておくこと(； 重要と考える.