人工授精後の黒毛和種牛に対する連続経腫採卵一年胚体外生産法の適用

摘要

黒毛和種牛において、分娩後の空胎期や人工授精（AI）後の様々な時期に経隆採卵一体外胚生産（OPU－IVP）法を連続して適用した場合、OPUの未成熟卵子回収成績、IVP成績、血中性ホルモンの消長にどのような影響があるかを妊娠の有無で群分けし検討した。 反復供試した4頭を含め延べ13頭の黒毛和種経産牛を、AI実施後9から61日目にOPUを実施して、後日受胎が確認された7頭（妊娠群）と、分娩後AI未実施の空胎牛4頭およびAIしたものの後日不受胎が確認された2頭（非妊娠群）に分けた。 妊娠群と非妊娠群の2回のOPU成績を平均すると、回収卵子数は9．8（回収率76．6％）と16．8個（錮．8％）、回収卵子に占めるA－Cランク卵子の率は、72．3と62．7％であり、妊娠牛では吸引卵胞数（p＜0．05）や採取卵子数（p＜0．01）、回収率（p＜0．05）が有意に少ないものの、A－Cランク率が有意（p＜0．05）に高かった。 5細胞期以上への分割率、B1．率は、それぞれ43．4、16．2％と53．2、11．1％であり、有意差は見られなかった。 妊娠群の血中E2濃度は2回目のOPU後3日目、10日目に小ピークを形成して濃度が上昇するものがあり、妊娠月齢2ヶ月までは周期性の卵胞発育がみられた。 P_4濃度はOPU実施時期にかかわF）なく2ng／ml前後の倍で推移した。 一方、非妊娠群では、E_2濃度は妊娠群に比べ全体的に高濃度で、1pg／ml前後から発情期レベルの8pg／ml前後まで大きく上下した。 特に2回目のOPU実施時、およびその10日後には濃度が高くなる傾向にあー）、OPU後に同調して新たな卵胞発育があったことを示唆した。 P_4濃度はOPU実施時期にかかわりなく一貫して1ng／ml以下の低い倍であった。 供試牛の受胎と分娩状況において、AI後に連続OPUを実施した9頭中7頭が受胎し、受胎率は77．8％で良好であった。 妊娠牛7頭が分娩に至り、内2頭の産子が過大子または側頭位による難産で梨死した。 結論として、妊娠牛にOPU－IVPを適用して体外受精由来胚を生産することは、ドナーの受胎性や分娩間隔に悪影響を与えることなく価値が高い遺伝資源をより効率的に活用することを可能にする。