腔内留置型プロジエステ口ン製剤（CIDR）とGnRHを用いて　排卵同期化処理を行った日本短角種受胚牛の胚移植成績

摘要

受胚牛の胚移植時期同期化を目的とした発情、排卵同期化技術について、GnRH－PGF_(2α)－GnRH（Ovsynch）処理（GnRH区）およびOvsynchにおける初回GnRH投与を脛内留置型プロジュステロン製剤（CIDR）に置換したCIDR－PGF_(2α)－GnRH処理（CIDR区）をH本短角種受胚牛への移植試験により比較検討した。 受胚牛は発情周期の任意の時期に排卵同期化処理を開始した。 GnRH区（n＝19）は、Ovsynchに準じて処理を行った。 一方、CIDR区（n＝20）は、CIDRを12日間膣内に留置後、抜去と同時にPGF_(2α)を投与し、その48時間後にGnRHを投与した。 両区ともPGF_(2α)投与後のGnRH投与臼を0日とし、7日目に黒毛和種から得られた新鮮胚の移植を行った。 受胚牛の発情は、PGF_(2α)投与後48－72時間にGnRH区で69．2％、CIDR区では85．7％が集中しており、特にCIDR区ではPGF2d投与後48時間目まで発情は抑制された。 発情がPGF_(2α)投与後48－72時間目に集中することから、PGF_(2α)投与後のGnRH投与日を0日とした胚移植日の設定が可能であると思われる。 GれRH区における2回目GnRH投与時の血中プロジュステロン濃度（P濃度）から、発情が誘起されていない可能性のある個体は26．3％存在した。 胚移植時の卵巣触診による黄体形成状況は、GnRH区においてPoorランクの個体が10，5％存在し、これらの黄体機能は低い傾向にあったが、CIDR区はGood（40％）またはFair（60％）ランクのいずれかであった。 棚田司期化処理別の胚移植成績は、CTDR区（82．4％）はGnRH区（68．8％）と比較して高い傾向にあった。 CIDR区では発情が観察されなかった個体（n＝5）においても川0％の受胎率が得られた。 これらのことから、受胚－牛のCIDR－PGF_(2α)－GnRH処理は、発情誘起、排卵同期化および肺移植成績においてOvsynchと同程度の成績が得られた。 その巾でCIDR－PGF_(2α)-GnRH処理のP濃度からは、GnRH投与時の卵胞期への移行が多くの受胚午で観察された。 また、肺移植時の黄体ランクは良好な傾向にあり、受胎率も高い傾向が認められた。 したがって、CIDRを用いた本法は、発情周期の任意の時期に排卵同期化処理が開始吋能であり、処理中の発情が抑制され、処理後の発情および排卵にばらつきが少ないことからも、受胚牛の胚移植時期同期化を目的とした発情、排卵同期化処理法として、省力化ならびに受胎率向上に有効である事が明らかとなった。