北海道におけるケン夕ッキーブルーグラス（Poa pratensis L.)放牧草地の造成技術:地上部および地下部の発達過程における草地管理法

摘要

ケンタソキープルーグラス（Poa pratensis L.）は他の寒地型牧草よりも施肥反応が低く（松中ら1983），栄養価も劣る（渡辺ら1996）とされており，集約的に利用される北海道の採草地では，その混生割合の増加が草地更新の指標となるなど牧草としての評価が低い。しかし近年，農家戸数の減少を背景に，立地条件の劣悪な農地における耕作放棄の懸念が高まるに伴い，傾斜の急峻な放牧草地や肉用牛の放牧草地等における土壌保全的土地利用のため，豊富な地下茎を右する本草種の積極的な活用が検討されるようになってきた（澤田1994）。 ケン夕ソキープルーグラスは初期生育が遅いので，雑草に抑圧されることなく早期に十分な茎数を確保するための草地造成技術の開発が重要である（北海道立新得畜試1993）。 さらに，造成翌年におけるケン夕ソキ、一ブルーグラス放牧草地の生産性は，茎数密度の不足等によって低水準になることがあると言われている（澤田，佐藤1989）。