水稲不耕起移植栽培の利点と課題

摘要

環境保全型農法のーつである水稲の不耕起移植栽培について、その利点と課畏を土壌肥料学の面から紹介する。 不耕起栽培は、耕起,整地作業を省略した農法であり、土壌や水の保全効果が高いことから、保全的耕転とされている。 世界的な不耕起栽培の普及は、作物別ではダイズ、コムギ、トウモロコシなどの畑作物が主であり、国別ではアメリカ合衆国、カナダ、ブラジル、アルゼンチンで大きい（世界全体の不耕起栽培面積は約4,000万ha（1997））。 我が国の不耕起栽培の普及面積（平成8年度の推定）は水稲直播栽培が約1,100ha、水稲移植栽培で約500ha、ダイズの不耕起播種が数10haとされている。 我が国の不耕起栽培は、耕起後の降雨による播種作業の遅れを回避するためなど、作業能率を向上させる方策として活用されてきた。