農業経営における家族的要素と企業的要素の並存

摘要

商品生産としての農業が普及して以降、家族経営から企業経営への転換は普遍的なテーマであり続け、今日もこのテ—マの重要性は色あせていない。その一般的な論法は家族経営と企業経営を対置し、優劣を論じるものである。家族経営の限界を見る論者は企業経営の展開を期待し、別の論者は家族経営の強靱性ゃ柔軟性に注目する。いずれの立論も両者の競争状態を想定し、どちらが競きをもつのかという問題意識に立ち、家族経営か企業経営の一方に軍配を上げるのが常である。