切り花用栄養繁殖系花き苗の生産，流通，利用の現状と技術課題（1）－花き苗の利用と国際的生産と流通，販売の現状、

摘要

最近の花き産業では花き苗も重要な部門になってきた．広義の花き苗は切り花，鉢物生産者が利用する花き苗（一次苗）から，花壇苗生産者が生産して園芸店やガーデンセンターなどで直接消費者に販売する苗（二次苗）まで含めると現在では巨大な花き生産ビジネスになっている．栄養繁殖系苗に加えて近年は種子を苗化して流通するセル成形苗の普及も大きく影響している．このような花き苗産業は多数の人員が関わり，独特の生産販売技術が開発されていながらほとhど表にでてこなかった．最近，わが国の切り花生産は不況と輸入花きの影響から市場価格の安値安定が続いて冷え込hでおり，小売り業界も苦戦している．このような状況下で一部の生産者は他の作目に転換しようとする動きすら出てきている．このため，利益を減らしている要因に苗代やロイヤリティーが高いという議論すらでている．苗産業の成立が花き生産の効率化や規模拡大に貢献してきた現在，苗生産の最新技術やビジネスの現状を紹介して海外の生産者がいかにコストダウンしているかも紹介し，日本の花き生産の国際競争力を高める参考に供したい．そのため，ここでは切り花用栄養繁殖系花き苗（以下栄養系花き苗とする）に絞って現状を検証し，技術面も含む今後の苗生産や利用上の問題点や展望を述べる．