暖地飼料ィネ栽培における雑草抑制力の優れた品種を利用した耕種的な雑草防除体系

摘要

イネと雑草との競合では，草冠（茎葉）が迅速に 田面を覆う品種や草高の高い品種で，雑草の生育を 抑制する力が優れていることが知られている (Fischerら1997 ； Johnsonら1998 ； Koarai and Morita 2003 ； Niら2000 ；橘、 渡邊2001).雑草抑 制力の強い品種の活用は，ィネ栽培における必要除 草期間の短縮につながり，除草剤使用の低減を可能 とする総合的雑草制御技術のひとつとして大いに 期待されている. 筆者は，イネの雑草抑制力に関する研究に長く従 事し，すでに本誌において『群落内の光強度の測定 によるイネの雑草抑制力の評価』とした題目で研究 の概要について紹介している（小荒井2005).その 後，水田の荒廃化を防ぎ，水田の環境保全機能を維 持できる転作作物のひとつとして，近年注目されて いるイネの茎葉と子実を合わせて収穫し，発酵粗飼 料として利用するイネ（以下，飼料イネ）における 雑草管理技術の研究に従事している.飼料イネ栽培 では，食用イネ栽培に準じた雑草防除体系をどって きたが（九州沖絹農業研究センターら2004),飼料 ィネでは省力、 低コスト化の観点から食用イネ以上 の簡便な除草体系や除草剤の使用量の削減が望ま れている.