知能的太陽光植物工場の新展開〔6〕一植物工場のロボット活用例一

摘要

現在，わが国の農業は弱体化への負の連鎖に陥っており，脱出は容易ではない．そもそも農業が魅力的な成長産業であれば，農地を宅地や商用地に転用されるはずもなく，放棄されるわけがない．所有する農地を農業以外で利用した方が何倍もの利益を生む状態になっていることが，本質的な問題である．この負の連鎖から脱出するためには，「儲かる農業」の実現と運営形態の多様化が最低限必要な対策であると考えられ，その具体的な対策の有力な一つが植物工場であり，栽培システムを効率化出来るところに大きなメリットがある．しかし，規模が拡大するにつれて，作業の効率化がもう一つの大きな要因として，その対策がまたれている．すなわち，プロセス制御に基づく第一陣に続くものとして，機械的効率化への期待である．すなわち，各種作業の自動化、ロボット化である．この両輪が機能してこそ正の連鎖へと転換できると思われる．また，農産物の国際的な競争力を確保していく必要もあり，今まで以上の品質の向上と生産コストの削減が求められる．その実現化のためには，国内農業の構造改革とあわせて，革新的な新技術開発により，採算性に適合するようなロボット化を含めた超省力技術の開発が，わが国の農業を持続的に維持、発展させる上で必須と言える（野口ら　2008）．