国内飼料価格と国際市場価格変動との関連性分析

摘要

周知のとおり，日本の畜産業の基礎となる飼料の 大部分は輸入に依存しており，近年では総合飼料自給率は25%前後で推移し，なかで飼料の8割弱を 占める濃厚飼料の自給率は10%未満で推移してい る.こうした状況のなか，国内飼料価格は国際市場 飼料穀物価格，為替相場などに影響されると考えら れる.近年では，国際市場におけるとうもろこし価 格の高騰，円高，バイオ燃料の需要拡大，国内では 原発事故に伴う一部飼料への放射線汚染など，飼料 を起因とする畜産経営への不安が大きい.国内飼料 価格と国際市場価格の変動，または飼料価格の変動 が最終生産物である食肉価格の変動に関して，大勢 の研究者からはその関連性が指摘されている.長井、清水（1999) [4]は多項式分布のラグを用いて1988 年-1998年の月別データにより，とうもろこし輪 入価格とシカゴ相場,為替相場のラグ期間を解析し， 用途別配合飼料国内価格ととうもろこし輸入価格の 関係を解析した.門間（1984)[1]は配合飼料を1 つの要素とした生産農家の供給反応分析を行った. 堀田（1999) [7]は牛肉経済予測を行うときに，酪 農部門及びも部門に飼料費用を取り込hだ分析を行った.これら研究のいずれも2000年以前のデー タを用いたものであり，近年の飼料価格高騰による 影響を取り入れなかった.