『おいレいーヒーの経済論』

摘要

一般的に，コ一ヒーの香味は,酸味と苦味を基礎と しながらも,甘味，コク,渋味,香りなどの強弱によつ て説明されるという.その中で「強い酸味と個性的な 香り」「豊かな酸味と甘い香り」などと表現されるのが 「キリマンジャ口」コ一ヒ一である.このおいしいコー ヒ一を生産する農民はどのような暮らしをしている か.著者はこれまでのコーヒーフードシステムが南の 国の生産現場を困窮に追い込む姿を明示しながら，タ ンザニァの農民もその働きに対する応分の収益を受 け,自立，自存の世界を確立していくための仕組みづ くりを求めてフェアトレ一ドの世界に分け入つてい く,その過程の中で,著者の農村開発の実践も含みこ hだタンザニアのコ一ヒ一小農生産世界に関するすぐ れたモノグラフが提出された，通常の農業経済学的な 研究から見れば著者の思いや願いが遠慮なく書き込ま れた異端の作品であるが,それゆえに通常の学の範囲 を超えた,住民の思いに肉薄する学際的視点からの問 題提起が内包されている.